賃貸併用住宅の問題点

不動産
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はじめに

前回、不動産投資の節税の嘘について記事を書きました。今回は、不動産の第2弾として賃貸併用住宅について書きます。

住宅メーカーが賃貸併用住宅を勧める裏側

ハウスメーカーの人は、やたらと賃貸併用住宅を進めていますが、本当にバラ色なのでしょうか?

住宅メーカーがやたらと賃貸併用を勧めるには裏があります。

  • ドアや玄関が沢山ある
  • キッチン、トイレ、風呂、給湯機など水回りの高価な設備が沢山ある
  • 部屋数が多く、クーラーなどの設備が沢山ある

同じ敷地に建てる普通の家と比較すると上記理由から賃貸併用住宅はかなり高い値段で売れます。住宅メーカーからすると高価な設備がてんこ盛りな賃貸併用住宅はおいしい商品なのです。

私も賃貸併用住宅を真剣に検討したことがありますが幾つかの欠点で見送りました。実際に不動産投資やってるふくたつが解説します。

賃貸併用住宅のメリット

まずは賃貸併用住宅のメリットについて述べたいと思います。

家賃収入がある

まずは家賃収入があること。これは最大のメリットです。普通に家を建てた場合、家のローンは全て自分の収入で支払っていかなければいけません。家賃収入があがるとローン返済の原資にまわせます。また、賃貸の部分の建物の費用は、経費に回すことができて、税金も安くすることができます。

住宅ローンで建てることがでる

金融機関によっては、賃貸併用住宅の住宅部分の面積が50%以上ある場合、住宅ローンで建てることが可能です。普通アパートを建てると住宅ローンと異なり、事業用ローン(アパートローン)で借りることになります。アパートローンになると住宅ローンよりも審査が難しく借りにくいです。更にアパートローンは住宅ローンよりも金利が高くコストアップです。なので、アパートローンを使わずに住宅ローンでお金を借りられるのは大きなメリットです。

こうしてメリットを挙げると良いことばかりです。住宅メーカーは良いことしか言わず、デメリットには言及しません。次はふくたつが気づいたデメリットについて言及したいと思います。

賃貸併用住宅のデメリット

賃貸併用住宅のデメリットについて言及したいと思います。

借主とオーナーが同じ建物で住むこと

一般にアパートの場合、間に管理会社が入り、借主さんとオーナーの間にワンクッションあり直接やり取りすることはありません。しかし、同じ敷地に住んでいるとなると直接やり取りしなければいけないシチュエーションが発生する可能性があります。

また、騒音などの迷惑をかける住民が住んだ場合、賃貸なら別の部屋を新たに借りて逃げることができますが、賃貸併用住宅だとそれも容易ではありません。

他の部屋を借りて、住宅部分を賃貸に出す → 住宅で住むことが前提の住宅ローンなので、賃貸に出すと銀行からローン全額一括返済が求められる可能性があるのでそんなことはできません。つまり、ローン返済が終わるまで住み続けるしかないということです。

複雑な経理処理

あまりこの点を指摘する方はいませんが、事務処理はかなり面倒くさいことになります。

例えば住宅部分が50%である賃貸併用住宅を建物4400万円、土地6000万円で建てたとします。通常のアパートなら建物の費用4400万円全額が経費になります。それに対して、賃貸併用住宅の場合、50%の2200万円のみが経費になる。住宅ローン減税も、住宅ローンを事業の部分と住宅の部分で案分して計算しなければいけずかなり複雑な会計処理が必要となります。一般の素人の方には複雑で大変です。

税理士に頼むにも費用が掛かります。賃貸併用住宅の場合、賃貸の部分が少ないので元々大きな収入は得られません。なのに複雑な会計処理を税理士に頼んで、費用がかさむと賃貸併用住宅を建てて、不動産賃貸業をやるメリットが少なくなってしまいます。税理士さんを儲けさせてるだけになってしまいます。

賃貸併用住宅の減価償却

上で述べたように経費になるのは、建物の金額の賃貸に貸している部分のみになり、経費が少なくなってしまいます。

上で述べたケースで考えてみましょう。建てた建物が木造だったとすると法定耐用年数は22年です。従って、全てアパートとして建てた場合と、50%住宅である賃貸併用住宅を建てた場合では、毎年落とせる減価償却が次のようになります。

  • 全部アパート 4400万円 ÷22年=200万円
  • 賃貸併用住宅 4400万円 x 50% ÷ 22年=100万円

毎年おとせる経費が倍違うことを意味します。

サラリーマンの方やその他の本業がある方が、副業で不動産投資をやる場合、一番気を付けなければいけないのは税金です。なぜなら副業で稼いだ利益は、全額、課税所得に合算されます。個人の所得税は、課税所得が増えれば増えるほど税率が上がっていく累進課税という課税方式です。既に扶養控除などすべての控除を引ききったのが課税所得です。そこに加わる副業の利益に対して、累進課税なので必然的に高い税率が適用されてしまいます。

副業を加えた課税所得=元々の課税所得 + 副業の利益 (不動産の収入ー経費)

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円
図1 所得税税率表

例えば、課税所得が500万円の人が副業として不動産賃貸で100万円の利益が上がったとしましょう。表1から加わる100万円全てが所得税20%、住民税10%の税率が掛かることになり、利益の30%にあたる30万円が税金で消えてしまいます。

不動産賃貸にかかる経費を、住宅と賃貸部分で案分して減らさなければいけない賃貸併用住宅は、税金という点であまり良い選択とは言えないでしょう。

また、新築で建てた場合、新築のプレミアがあるので、自分で住むより、人に貸したほうがより多くのリターンが見込めるという点も一棟アパートが優れている点として挙げておきます。

以上の理由で、私は賃貸併用住宅を止めて、一棟アパートを選択しました。

まとめ

賃貸併用住宅のメリットとデメリットについて説明しました。

住宅メーカーは住宅メーカーとしてのポジショントークがあるので、言っていることを100%信じてはいけません。自分なりにメリットとデメリットを慎重に考えて決めた方が良いです。

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