損益通算の裏技で税金を取り戻す方法

投資
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損益通算は株や投資信託の売買、配当、分配金で得た利益と、株や投資信託の売買の損失を通算し、利益を低減して税金を減らせる制度です。この制度を知らないで、本来支払う必要の無い税金を支払ったままになっていて損をしている方が多くいます。詳しくは先日書いた記事を参照ください。また、この制度を積極的に活用する裏技で、税金を取り戻すことができます。知らなければ税金は取られたままです。ここではより具体的な例で、税金を取り戻す方法について説明したいと思います。

複数の証券会社で取引するのはやめよう

リベ大の両さんは、リスク分散などの理由で複数の証券会社で取引するのを薦めています。確かにある一面正しい指摘ですが、複数の証券会社で取引すると株取引の損益通算が自動で処理されない可能性があり、税金を損してしまう可能性があるという大きなデメリットがあります。詳しくは以前書いた記事を参照ください。私はデメリットの方が大きいので同一証券口座で取引するべきだと思っています。特に確定申告を自分でされていないサラリーマンの方は、複数の証券会社で取引するのを辞めておいた方が良いでしょう。

お勧めの証券会社はSBI証券楽天証券です。これらの証券会社は今年から、株の売買手数料が無料になっているので、今回提案する裏技にはもってこいの証券会社です。

全て同一の証券会社で取引をしていれば、損益通算は自動で行われ、確定申告することなく年末に税金が自動で還ってきます。次に実際の例について紹介します。

損益通算で税金を取り戻そう

ここで説明する裏技とは、配当や株式売買で実際に利益が上がっている状態で、含み損を抱えてる株がある場合に適用される裏技です。

高配当株投資をされている方は、目的が配当収入であるため、含み損を抱えていても塩漬けにしがちです。ただ、塩漬けのままではいくら含み損を抱えていても売らなければ損失になりません。売って損失を確定することで、それまでに得た配当や、株式売買で得た利益と相殺して税金が還ってくることになります。

つまり裏技とは年末の時点で含み損の株を抱えた株を、売る必要が無くてもあえて売って損失を確定し、それまでに得た配当や株式売買の利益と相殺させることで、源泉徴収で徴収されている税金を取り戻す方法です。

確定申告すれば損失も3年間繰越すことができるのですが、期間が有限なので、なるだけ上がっている利益と損失が同じ金額になるように売却するのが一番良いです。

損益通算を活用して税金を取り戻す方法について、色んな場合について、具体的な例を用いて解説したいと思います。

高配当株を購入し配当金を貰ったが株式の含み損がある場合

株価下落はよくある話です。特に高配当株は配当金の権利を得る前後などは、権利が大きい為株価が大幅に変動します。そうした株価変動により含み損を抱えてしまうことはよくあることです。

そうした場合でも、何もしなければ貰った配当金に対して税率20.315%の税金が自動で徴収されてしまいます。そんな時でも、損益通算をうまく活用すると年末に税金を取り戻すことができます

同一の証券口座で取引をしていれば、証券会社の方で自動で損益通算して年末に源泉徴収した税金を返してくれます。

税務署の人は、払った税金が払うべき税金よりも少なかった時は「税金が足りない」と指摘してきますが、多かった場合は「支払った税金が多かったから返しますね」とは教えてくれません。

つまり情報を知らなければ損してしまうという事です。損しないためには情報を知らなければいけません。それでは具体的な解説をしたいと思います。

含み損 < 配当金 の場合

損益通算をうまく活用することで税金の一部を取り戻すことができます。一般条件式を示した上で具体的に計算しましょう。

株式Xを株数N株の含み損をA万円、年間に貰う税引き前配当金をB万円でA<Bの場合、損益通算で税金を取り戻す手順は

  1. 株式Xの株数N株を全て売却
  2. 株式Xの株数N株を買い戻す
  3. A x 20.315/100 万円の税金が還ってくる

1から3の手順を行うとA x 20.315/100 万円の税金が還ってきます。

含み損を抱えた株は売却しなければ損にはなりません。1で売却することで損失が確定し、配当金と株式売買の損失を損益通算することで税金が戻ってきます。

次に具体例で解説します。

  • 権利確定日が2月末日である株式X(株価1000円)1万株を2月に購入(合計1000万円)
  • 5月と11月にそれぞれ配当金50万円を貰う(合計100万円)
  • 20.315万円の税金が源泉徴収
  • 年末の時点で株価が950円に下がり含み損50万円

上記例について考えます。

以下の手順で税金が還ってきます。

  1. 12月に株式X 1万株を950円で売却。-50万円損失確定
  2. 株価950円で株式X 1万株を買い戻す
  3. 年末、自動で損益通算されて証券口座に 50万円 x 20.315/100 = 10.1575万円 還ってくる

1~3の手順で約10万円税金が還ってきます。

多くの方は、そのまま放置されているのではないでようか?特に配当金目当てで高配当株を買われた方は、そのまま塩漬けで放置してしまいがちです。しかし、ちょっと工夫するだけで税金を手間なく取り戻すことができます。戻ってきた10万円で株式に再投資すれば貰える配当金を増やすことができます。次に 配当金 < 含み損 の場合について解説します。

配当金 < 含み損 の場合

株式Xを株数N株の含み損をA万円、年間に貰う税引き前配当金をB万円でB<Aの場合、損益通算で税金を取り戻す手順は

  1. 株式Xの株数 N x B / A 株を売却 (取引単元数以下は四捨五入)
  2. 株式Xの株数 N x B / A 株を買い戻す
  3. B x 20.315/100 万円の税金が還ってくる

1から3の手順を行うと源泉徴収されたほぼ全額に相当する B x 20.315/100 万円の税金が還ってきます。

次に具体例で解説します。

  • 権利確定日が2月末日である株式X(株価1000円)1万株を2月に購入(合計1000万円)
  • 5月と11月にそれぞれ配当金50万円を貰う(合計100万円)
  • 20.315万円の税金が源泉徴収
  • 年末の時点で株価が850円に下がり含み損150万円

上記例について考えます。

以下の手順で税金が還ってきます。

  1. 12月に株式X 1万 x 100/150 =6666株を1株850円売却し、-100万円損失確定 (単元株数100株の場合は100株以下を四捨五入して6700株)
  2. 株価850円で株式X 6666株を買い戻す
  3. 年末、自動で損益通算されて証券口座に 100万円 x 20.315/100 = 20.315万円 還ってくる

1~3の手順で、配当金100万円と株式売買の損失100万円を損益通算する事で税金を相殺し、約20万円税金を取り戻すことができます。

ここで、損してる株を全部売却すれば良いのでは?と考える人がいると思いますが、損失は確定申告をしても持ち越せるのは最大で3年間です。損を確定しないで、株式を持ち続ければ永久に持ち越すことが可能なので、必要以上の損は確定しないほうが賢明です。

配当金以外に株式売買益がある場合

配当金以外に株式売買益がある場合も同様については、考え方は一緒。

  • 含み損が利益(配当金+売買益)より多い場合……利益をちょうど相殺できる程度の株式を売却して利益を相殺。必要であれば売却した株を買い戻す。
  • 含み損が利益より少ない場合……含み損をかかえた株式を全て売却。必要であれば売却した株を買い戻す。

上記手順で、源泉徴収された税金の一部または全額を取り戻すことができる。

まとめ

損益通算を活用することで、源泉徴収された税金を取り戻す方法について具体例を挙げて解説しました。節税に関して、知らなければ税金は取られたままです。取り戻した税金を再投資することで、更に多くの配当金を得ることができます。投資家が目指すべきは、キャッシュフローの最大化と再投資です。実践してキャッシュフローを更に増やしましょう。

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