節税は嘘?
不動産投資会社や税理士などが、不動産投資で節税効果があると宣伝しています。本当に節税効果があるのでしょうか?実際に不動産投資を行い、確定申告もすべて自分でやっているふくたつが解説したいと思います。色々見解はあると思いますが、ふくたつが思う結論は、殆ど節税効果が無いというのが結論です。
- 不動産投資会社→不動産に利益をのせて売って利ザヤを稼ぐ。そこで働く営業マンは、一棟売れば歩合でたくさん稼げる。売りたい。
- 税理士→不動産投資をしてもらう事で確定申告の複雑な経費処理の仕事が貰える。
そのポジションにいる方のポジショントークであると考えた方が良いでしょう。
そもそも、売ろうとしている不動産がそんなに儲かるなら人に売らずに、不動産会社自体が運営すれば良い。それで終わる話です。
それではその中身について解説したいと思います。
節税の仕組み
まずは、節税の仕組みについて解説したいと思います。
設備と耐用年数
事業を行うには、必ず設備が必要になります。その設備には、耐用年数があり、時間とともに壊れてしまって価値がなくなってしまいます。
簡単な例として、漁師さんを挙げます。漁師さんは船がないと仕事ができません。この仕事に必要な船が設備ということになります。この船も故障なく永久に使えるわけではなく、いつか故障して壊れてしまい価値がゼロになってしまいます。この壊れるまでの期間を耐用年数と言います。
それでは不動産投資の場合の設備はどうなるでしょうか?
購入した不動産が設備ということになります。ただし、不動産の土地の部分は、故障して使えなくなることが無いので、建物だけが設備ということになります。
設備の税制的な取り扱いはどうなっているかというと、事業に必要なものなので、購入にかかった費用は、全額経費として認められます。ただし、その経費は、耐用年数で割った値を毎年経費計上します。計上した経費分、資産の価値が減り、残りがゼロになるまで経費となります。これを減価償却と言います。耐用年数は設備によって、法律上決まっていて、これを法定耐用年数と言います。例えば、新築木造だと法定耐用年数は22年と決まっています。
減価償却と税金計算例
それでは具体的に税金の計算例で説明したいと思います。土地3000万円+建物2200万円の木造アパートを新築でその年の1月1日に建てたとします(年の途中で建てた場合は、その年の減価償却は案分になります)。
不動産以外の課税所得が500万円で、アパートの家賃収入が100万円だっとすると、課税所得は単純に足し算すると500万円+100万円で600万円となり、税率が20.42%なのでそのままだと、増えた100万円に対して20.42万円の税金が掛かってしまいます。
それに対して減価償却 建物のお金2200万円/法定耐用年数22年=100万円 が経費となるので、
600万円-100万円=500万円で税金の増分はゼロになります。
不動産業者や税理士はこれを節税だと言っています。私はこれは完全に嘘だと思います。なぜなら、減価償却は、あくまで事業開始時に必要だった設備の費用を回収しているだけで、税金掛からないのは当たり前の話だからです。最初に莫大な費用を払って、設備を導入したこと忘れ、その年の損得で考えてはいけません。
原価償却で節税できると巷で真実であるように語られてますが、全くのデタラメで、ただ設備導入の経費を回収しているだけで、節税でもなんでもないというのが真実です。設備の費用すら回収できないようでは、その事業はお先真っ暗です。
また、ここで忘れてはいけないのが、毎年、減価償却によって設備の残存簿価が減って資産価値が下がっていることです。この点を考えないととんでもないことになります。次に実際にこのことを考えない失敗例について説明します。
損益通算とサラリーマンの所得税減税
これからする話は、巷によくある話で、気を付けたほうが良いです。毎年の減価償却費が不動産収入以上になるような不動産(赤字)で、所得税減税できてお得という業者がいます。これは本当なのでしょうか?確かに不動産収入以上の減価償却費になれば、赤字の分、損益通算でサラリーマンの給与と相殺が可能で、源泉徴収でとられた税金が戻ってきます。ただし、これは間違った考えです。なぜなら、皆さんは最初に多額の費用を払って設備(建物)を購入しています。このお金を完全に忘れた議論だからです。
例えば、法定耐用年数47年の新築RCマンション土地300万円、建物4700万円を1月1日に購入したとします。
毎年、減価償却費4700/47=100万円 が経費として認められます。
不動産の家賃収入が年間50万円だったとすると、50万円-100万円で-50万円、この赤字とサラリーマンの給与収入の給与とぶつけて、損益通算することで税金が還ってきます。
しかし、この得するという考えは間違っています。まず考えなければいけないのが、皆さんの総資産はどうなっているのか?という点です。
4700万円の設備 → 4600万円の設備(減価償却の100万円分価値が下がる) + 50万円(家賃収入)
単年度のお金のやり取りをみると4700万円→4650万円と皆さんの資産が減っています。
じゃあこれが47年後ならどうなるでしょうか?
4700万円の設備 → 0円の設備(通算の減価償却4700万円でゼロ)+2350万円(通算の家賃収入)
この例でいくと通算で2350万円の赤字です。建物が老朽化すると、修繕費用や、リフォーム費用、空室リスクもあるので、実際はもっと赤字になるでしょう。
この損益通算で税金が得するという考えは、皆さんの資産全体がどうなっているのか?という議論をすっ飛ばして、税金が増えたか減ったか?という議論のみにすり替えている点が問題だと思っています。
そもそもなんで所得税が還ってくるのか?事業が赤字で、その赤字が他の所得(給与)を浸食してるから、税金が還ってきてるのです。得しているわけでは全くないので、気を付けるべきです。
新築の最初の状態から、減価償却費より家賃収入が低い(最初から赤字になっている)不動産は絶対買わない方が良いです。初年度から赤字になるような不動産は、事業性が低く皆さんの資産を大幅に減らす可能性があります。
青色申告特別控除と事業的規模
青色申告承認申請書を所管の税務署に提出して、承認してもらうと、確定申告の時に青色申告ができます。青色申告すると、課税所得から10万円、55万円、65万円の控除を受けることができます。3種類の控除について説明すると以下の通りです。
- 10万円控除…….青色申告すればだれでも10万円控除は受けられる
- 55万円控除…….不動産投資が事業的規模(後で記事にする予定)でeTaxで申告しない場合
- 65万円控除…….不動産投資が事業的規模でeTaxで申告した場合
不動産投資をした場合、青色申告するとそれだけで特別控除が得られるのでそこは不動産投資の節税効果のある点です。事業的規模の基準として5棟10室があります。この基準については別記事で解説したいと思います。
専従者給与
個人事業主として開業届を所管税務署に提出し、且つ不動産投資が事業的規模を満たしているとき、家族に専従者給与として給料を支払うことができます。
まとめ
- 実例を交えて、不動産投資の節税の仕組みについて解説しました。
- 減価償却は設備の費用を回収しているだけで節税でもなんでもない。
- 損益通算で所得税減税は、事業自体が赤字なので得するわけではない。
- 青色申告特別控除で節税ができる
- 専従者給与支払いで節税できる
不動産業者はあの手この手と騙すような手口で不動産を売りつけようとします。まず、重要なのは何もしなくて勝手に儲かる不動産はありません。
少なくても、相手の言い値で決まる不動産は買わない方が良いです。私がやったのは、更地の土地を購入して、建てるアパートは10数社合い見積もりをとって、価格、内容を比較してビルダーを決めてます。全て合い見積もりで値段を決めることが重要です。
コメント