数学で解明する4%ルールに代わる計算

シミュレーション
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FIREとは?

FIREとはFinancial Independence, Retire Early[経済的自立、早期リタイア]の頭文字をとった略語で、若いうちから投資の元本をためて、その元本を運用し、その運用益で生活できる額を稼いで、早期にリタイアを実現することです。それでは幾ら貯めれば良いのでしょうか?長年、エンジニアをやってきたふくたつならではの切り口で、他のブロガーさんでは出せない情報を提供します。

4%ルールとは

4%ルールとは、毎年、運用資産の4%を取り崩して生活し、残りの資産はそのまま運用を続け、長期的に資産を維持していく手法です。論文で発表された内容で有名な話ですが、過去のデータから導き出されたもので、明確な根拠があるわけではありません。明確な根拠がないのですが、一般に良く知れ渡っています。

4%を数学で解明

ふくたつは、積立金のシミュレーション、取り崩しのシミュレーション、全て100%独自に解いています。だからこそ、他のブロガーさんにできない結論を導き出すことができます。4%ルールに代わる新しい結論を数式によって、明確に示したいと思います。この結果は、ふくたつ独自に導出した結果で、どこにも載っていないオリジナルな計算結果です。

FIREの為に求めなければいけない条件

FIREにはいくら必要か?生活に必要な額も人それぞれで、明確に必要な額を求めるのは困難です。毎月必要な額に対して、どれくらいの金額が必要か?数学で求めたいと思います。

また、運用の永続性も必要です。途中で運用原資が無くなり生活できなくなっては目も当てられません。運用原資を減らさずに、運用資産を永続的に取り崩していく条件を求めなければいけません。

ここでは、運用し続けながら毎月必要な額を取り崩し、且つ運用原資を減らさない条件について、数式によって求めたいと思います。

取り崩しの計算

以前、考察した取崩しの計算の結果から、(1)式が求まっています。Aはn年後の資産、S0は初期投資額、α[%]は年間利回り、Aは毎月取り崩す金額を意味します。

$$A_{n}=\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^nS_{0}+\left\{1-\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^n\right\}\left\{1+\frac{1}{\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^{\frac{1}{12}}-1}\right\}A \cdot\cdot\cdot\cdot\left(1\right)$$

An=0として(1)式を解くと、n年後の資産がゼロになる条件が求まります。(1)式=0を式変形すると(2)式が求まります。(2)式をXと置きます。

$$\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^n=\frac{\left\{1+\frac{1}{\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^{\frac{1}{12}}-1}\right\}A}{\left\{1+\frac{1}{\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^{\frac{1}{12}}-1}\right\}A-S_{0}}=X \cdot\cdot\cdot\cdot\left(2\right)$$

次にこの式について考察していきます。

運用資産を減らさずに取り崩す条件について

(2)式について考察します。(2)の両辺をLogとって、両辺をlog(1+α/100)で割れば、資産がゼロになるまでの期間が求まります((3)式)。但し、この式で求まるのは、あくまでゼロになるまでの年数なので永続的ではありません。次に、永続的な条件について考察します。

$$n=\frac{logX}{log\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)} \cdot\cdot\cdot\cdot\left(3\right)$$

(2)の左辺は、べき乗の中身が正の値なので正、右辺の分子は正の値なので正。しかし、右辺の分母は、条件によってはゼロにもなるし((5)式)、負の値にもなる((6)式)。これは何を意味しているのか?考える必要があります。

$$S_{0}=\left\{1+\frac{1}{\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^{\frac{1}{12}}-1}\right\}A \cdot\cdot\cdot\cdot\left(5\right)$$ $$S_{0}>\left\{1+\frac{1}{\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^{\frac{1}{12}}-1}\right\}A \cdot\cdot\cdot\cdot\left(6\right)$$
  1. 分母=0の時((5)式) X→∞なので、n→∞ つまり、総資産がいつまでもゼロにならない。つまり、資産が減らずに永続的に現状維持になることを意味しています。
  2. 分母<0の時((6)式) 左辺が正、右辺が負になるのでそもそも解が存在しなくなります。これは何を意味しているかというと、初期投資額S0が多く、毎月取り崩すAよりも多くリターンが得られてしまう状況。つまり、資産が減らずに逆に増えていくことを意味します。だから、資産An=0の解が存在しない。

つまり、(5)、(6)式が4%ルールの代わりに資産を永続的に維持するための厳密な解であることがわかります。自分がFIREするのに必要だと思う金額A、運用利回りα[%]が決まると、(5)式により、自分が毎月必要だと思う金額(毎月運用資産から取り崩す金額)Aに対して必要な初期投資額S0が求まります。

運用利回りα[%]に関しては、現在運用している投資信託または株式の一株当たりの平均取得価格と現在の株価、年間配当金がわかれば、私が独自に開発した株の実効利回り計算機により、配当とキャピタルゲインを加えた真の利回り(実効利回り)を求めることができます。求まった値を今回の計算に用いることができます。真の利回り(実効利回り)計算例として、eMaxisSlimシリーズJT株三菱UFJ株みずほFG株三井住友FG株りそなHD株などがあります。

結論

FIREを実現する為の条件式が求まりました。その条件式は以下になります。Aは、自分が毎月必要としている金額、α[%]は実効利回り計算機で求めた現在運用している株や投資信託の運用利回り、S0はFIREする為に用意する資産となります。

$$S_{0}=\left\{1+\frac{1}{\left(1+\frac{\alpha}{100}\right)^{\frac{1}{12}}-1}\right\}\frac{A}{1-\frac{20.315}{100}}$$

但し、元本は減らない条件式なので、取り崩す金額Aは全額利益であると推定して、引かれる税金20.315%を考慮して導出しました。

この計算式をもとにFIREシミュレーターを開発しました。検証記事はここです。ご興味のある方は確認お願いします。

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